祖父母どのの家を辞去したオレ達は
サンマロ近くにあるディナンという街に向かった。
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そこにブルターニュ名物ガレットの
美味しいレストランがあるらしい。
途中でジャンヌの妹カトリーヌと合流し
そこへ行こうという話になったのだ。
ディナンは谷間にある静かな街だ。ハーフティンバー様式の古い建物とひなびた空気はまるで中世ヨーロッパに迷い込んだような気持ちにさせる。
ってか、広場に出たらまだ火炙りとかやってんじゃね?的な印象すら漂わせている。
川べりでは夕涼みを楽しむ人たちが
ベンチに腰を降ろしくつろいでいる。観光地としての魅力もさることながら
のんびりとバカンスをするのにも最高の場所だろう。
しかし、我々の目的はそば粉で作られたクレープ、
ガレットを食い漁ることである。街の観光などではない。
だいたい地元民のジャンヌ達は
この街になんの物珍しさも感じておらずカシャカシャと写真を撮るオレを奇異の目で見つめる始末だ。
その視線に絶えきれず、こんな街、日本にねぇんだよ!と抗弁したが 中学高校をここで過ごした彼女たちから「こんなしょうもない街で写真?何を考えてるのかしら?」
という視線は消えない。
凄まじいまでの温度差である。
そして、そうこうする内におすすめのレストランに到着した。そしてガレットをむしゃぶり食うオレ。
日本でも食べられるが、オレはそんなオシャンティな店は行ったことがないのでこれが生まれて初めてのガレットである。三人で談笑しながらの食事は実に美味しかった。実は明日、サンマロを離れパリに向かう予定だ。そしてそのままオランダのアムステルダムへと向かう。
というのも、先日マルタ時代の友人がFacebookにアップロードしたジャンヌとオレの写真を見て「ヨーロッパを旅行してるんですか?」
「もしアムスに来るなら連絡下さいね」とメッセージをくれたのだ。
ほたら、アムス行きますわ。オレは即座にアムステルダム行きを決定していた。
まさにいきあたりばったりだが、これでこそオレの旅らしい。
夜も更け、ジャンヌの自宅に戻ると仕事帰りだというのに
駅までパシって下さったパパが
オレにアムス行きのチケットを渡した。
「これは軍人用チケットではないからなw」と懐かしい言葉を添えて。明日、朝早く家を出るオレとご家族衆は
もう顔を合わすことはないだろう。
オレと彼らは抱擁を交わす。するとシードル(リンゴサイダー酒)の代わりだと
アップルサイダーの入ったワイングラスを渡された。「のび太はお酒飲めないでしょw」そう笑う彼らと最後の乾杯を交わす。
そして庭に出ても車の音ひとつしないオレ達の会話だけが響く
そんな静かな夜が更けていった。
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2015-06-18 13:21
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