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12日目!さよならブルターニュ [ブルターニュ-フランス-]

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霧につつまれた静かな朝だった。
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ご家族衆を起こさぬよう
オレ達は静かにジャンヌの家を後にした。

そしてクルマに乗り込んだ時、
ジャンヌは「どうぞ」とオレに包み紙を手渡した。

一体なんだろう?
包み紙の中にはCDが入っていた。
ジャンヌの車でよく聞いていた音楽を
まとめてくれたモノらしい。

そう、音楽とは不思議なものだ。
むかし、よく聞いていた懐かしい音楽が流れだすと
当時の気持ちを鮮明に思い出す。
そんな経験はオレだけではないだろう。

日本ではブルターニュで聞いたフランス音楽がふと流れることはない。
だが、このCDをかければ、
楽しかったブルターニュでの日々を
鮮明に思い出すことができるだろう。

憎いプレゼントをするね、ジャンヌ。
「ふふwなかなかでしょうw」

だねwいま車の中で聴いてもいいかな?
「そうだね!聴こう聴こう!」



Ma directionというラップ音楽が流れる。

訳すと『オレの進む道』となるだろうか。
ジャンヌの話では親にはマジ迷惑かけた、
でもオレいまマジスゲーぜ的な歌詞らしい。


日本でも聞いたことのあるような内容だ。

ラップでの共通の世界観なのかもしれない。

ジャイアン_R.jpg
それを車の中で適当に一緒に歌う。
それも毎度のことだった。
「フランス語、超適当じゃんwあんたにはどう聴こえてんのよw」
そうツッコまれながらも歌うことを辞めないオレは
相当に打たれ強くなったらしい。

st.rennes_R.jpg
レンヌの駅に着くと
すでに列車は到着しているようだ。

駅の構内まで見送りに来てくれたジャンヌを
力強く抱擁し別れを告げる。


ブルターニュに来て本当に良かった。
Brittany147.JPG

車内の席に座ると少し寂しさがこみ上げてきた。

だが別れは確かに寂しいが、泣く必要はない。
別れが寂しいのは楽しい時が過ごせたからだ。

それにいつかまた会えるだろう。
会いたいという意思を持ち、航空券さえあればいつでも会える。
たぶん世界は、思ったよりも狭いのだ。

それでも寂しくなったら
ジャンヌからもらったCDを聞けばいい。

そうすればあの楽しい思い出は鮮明によみがえる。

オレは本当にいいお土産をもらった。

そしてガタンゴトンと揺れる車内で
オレはCDケースを開けた。
euro2235.JPG
・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
あっ!・・・CD、ジャンヌの車に入れっぱなし・・・だ・・・

うっぎゃああああああ!!!!!
やっちまったああああああ!!!!!
IMG_0090_R.JPG

ジャンヌから「最後まで笑かすなw」とメッセージが入ったのは
数分後のことだった。

脚注
帰国後、曲目をもらい自分で作りました。
そして聴くたびに楽しかった思い出より先に
電車で受けた衝撃を思い出すという悲しいCDに・・・

ちくしょう、ちくしょう・・・


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