五十二日目！さまよえるオランダ人とオレ

〈オランダへ行く前の思い出話〉
英語のうまい国はどこか？

その答えに間違いなくオランダという国は入るだろう。

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オランダ人が自虐的に言うには、

オランダ語とは酔っ払ったドイツ人が喋る英語なのだそうだ。

それにオランダという国では
自前の賭け金を全て貿易業にオールインしており就職に英語は必須である。
その上、マイナー言語であるオランダ語にはメディアコンテンツも少なく
幼い頃からアニメを英語バージョンで見ざるを得ないという強制英語学習もある。

そう、彼らが英語ができるのは必然なのである。


〈圧倒的な結果も必然なのである〉
 
つまり、そんなスーパー英語エリート国家の女性が
このマルタの学校に来た理由は完全にバカンスが目的である。

もしそうでないとしたら完全に嫌味である。

ちなみに彼女は入学早々に特A英語クラスに選別され
友人たちとも普通に英会話を楽しんでいる。

彼女には「ジャパニッシュｗクソワロタｗ」と
悪友共に笑われ続けた男の気持ちなんて絶対にわからないであろう。

そんなオランダの優等生とジャパニッシュを駆使する劣等生が
挨拶を交わしたのはバスの中でのことだった。

街から宿舎へ帰ろうとバスに乗ると前の席に彼女が座っている。
夜も遅く少し田舎の方を走っている路線だということもあり
乗客はオレ達二人っきりだった。

だが、オレは窓の外を眺めたふりをして
視線すら合わそうとしなかった。

のび太はこう見えてシャイな男なのだ。
つーか、あんな英語ペラペラガールにボクのジャパニッシュを聞かせたら
ウンコを見るような目で見られるかもしれな･･･

･･･あれ？あれあれ？
それってご褒美だよ･･･

よぉし！ボク話しかけてみるぞ！

すこし特殊な性癖のあるのび太が
後ろ暗い決心をしたその瞬間である。

俺たちの乗ったバスが道のド真ん中でいきなり停車したのだ。

ああん？なんだ？エンジントラブルか？

しかし、そうではなかった。
なぜなら運転手が悪びれもせず振り返り、
まるでツレにでも話すように
オレたちに問いかけたからだ。

その言葉はいまでもオレの耳に残っている。
hey! where is next bus station?
（おい、次のバス停どこだっけ？）

え･･････？？

暗くて気づかなかったのだが･･･
いや薄々気づいていたのだが、バス停がないのは当たり前だ。

このバス･･･いつもと全然ちがう道を走ってるじゃん！

どこだ！ここは！

つーか路線バスなのに迷子？
しかも乗客に道を聞くか？普通？
運転手に視線をロックオンされちゃった彼女も
びっくりして首をブンブン横にふってんじゃん！

あと、ここ道のど真ん中だぞ！

なぜ路肩に止める努力すら放棄するんだ！

そんなオレの口に出せない真っ当な思いも虚しく、
運転手は彼女にクビを振られたことで
舌打ちをするというクズっぷりを遺憾なく発揮している。

おおう･･･ワイのほうが舌打ちしたいわい･･･
そして運転手はバスを停めたまま、
どこかに電話を始めてしまった。

こらあかん。
オレはこの世にあまねく存在する重力より自然にサンドラに話しかけた。

あの･･･学校の子だよね？
このバスダメだわ、降りない？

オレの身体は震えていた。
怒り、諦め、怯え･･･それら全てが混ざったものだ。
そう･･･理解できないものに出会うと人はこうなるのだ。

彼女も震えてるし間違いない。
あとで聞くと怒りオンリーだったらしいが。

共に降りた彼女と熱く語り合う。

な、なんなんだ！！あのクソは！
「そうですよ！ひどすぎます！」
せめて端に寄せろよ！
んで、ハザードつけろ！
「それより気がつきましたか？」

「あいつライトまで消してましたよ！！」
はぁああああ？？？？
「追突ドンとこい！って感じですよね」
･･･降りてよかった。
「ええ。ナイス判断です」
んで、君さ。
「サンドラです」
あ、のび太です。サンドラ。ここどこっすかね？
「･･･のび太も、わからないんですか？」
うん。あれに乗ってるよりマシかなーって思って･･･

「ま、まぁ同意しますけど･･･」

そうあのバスに乗っていたところで
間違いなく帰れないのだ。

ならば歩くしかないではないか･･･

この真っ暗な闇の中を･･･

脚注
マルタの公共交通と言えばバスしかありません。
メインの路線は滅多なことはありませんが、
メインから外れた路線になると滅多なことが起こります。
地元住民がそっちじゃないわよ！って運転手に叫ぶのを何度聞いたことか。

あとバスの運転はかなり荒いです。
というかマルタは全体的にクルマの運転が荒いです。

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タグ：マルタ 追憶

コメント 2

いいな～オランダ行ってみたい国です
イタリア人の知り合いが、ポテトチップをかじりながら英語を話すとドイツ語に聞こえると言ってました
by Lee (2015-06-18 23:06) 

いま、まとめてますけど
私のオランダ旅行記を読むと
その憧憬が腐り落ちるかもしれません・・・

そういえば、イタリア人の友達はなぜかislandの発音ができなかった気が･･･
ま、私はもっとヒドイですけどねｗ
by のび太 (2015-06-19 00:05)