オレは古ぼけた本屋で絵本を物色していた。
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実はチェコの絵本はかなりレベルが高い。
というのも、共産主義国家であったチェコでは
芸術に対し表現の自由という名のワガママは許されていなかった。
政府の気にくわぬ小説は焚書され、
映画は退廃的だとお蔵入りし、
絵画はブルジョワ的価値観を許されなかったのだという。
これだけ聞くと「地獄のような世界だな!」
そう思われるかもしれない。
だが、東欧の友人に当時の話を聞いてみると
「もともとそんなもんに興味ないからオヤジ達は何も気にしてなかった」そうだ。
「そもそも競争もないから仕事は超ラクで幸せだった」
「その分、製品は全てクソだった」らしい。
みんな一緒に目立たず、逆らわず、のんびり足を止め、貧しい生活をする。
庶民にとってはゆるめの共産主義国家というのは存外幸せなのかもしれない。
マズローとか言うオッサンいわく、『欲求には次元がある』らしい。
オレのブラックリーマン生活と彼らの生活は
質こそ違うものの満たされる欲求の次元はほぼ同じモノだろう。
〈これの一番下。何もない幸せを満喫できる階層です。〉
だが、表現したいんや症候群にかかる芸術家諸君はそうではない。
『表現したいんや!』
それはマズローのいうところの
高次欲求である自己実現欲求を「フルマックスで求めてまーす!」ということだ。
そんな彼らにとってみんな一緒のLOVE社会など
その偉大なる欲望にとっての足かせでしかない。
彼らはそんな規制まみれのメインストリームを早々に見切り
絵本やアニメの世界へと足を踏み入れることとなった。
なぜなら当時、政府は子供向けのもの・・・
つまり絵本やアニメに対しては
表現の規制をゆるゆるにしていたからだ。
そして各芸術界の天才たちが
絵本とかアニメとかに全力投球したわけである。
そんなん、面白くないわけがないやん!
つーか本職の絵本作家がかわいそうだろ!
彼らの作った絵本やアニメは
子ども達はもちろん大人たちをも唸らせ
ついには国外進出を果たすまでになった。
長い前置きであったが
そんなわけでオレはカレル橋の近くの古本屋にいる。
そして三十才超えてるのに
『クルテクちゃん』に夢中なのである。
めっちゃwかわいい!このモグラ!
ここまで前置きしておいて
どんなマニアックな名作を出すかと思えば
日本でも有名なクルテク押しである。
ちなみにクルテクを日本語に訳すと「もぐら」である。
作者は名前をつけるセンスがないぞ!
クルテクの絵本を買いあさり
ついにはクルテク人形にまで手を出すファンシーのび太。
しかも『ねずみくん』という
やはりネーミングセンスに問題がある脇役を購入である。
オレはウキウキと、また別の本屋へと向かった。
そう・・・
帰国後、姪っ子たちに全てのクルテクを
強奪されてしまう運命も知らずに。
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2015-07-03 23:47
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コメント(2)
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共通テーマ:旅行
プラハの絵本可愛いですね〜。
そういえばビーズも綺麗でチェコビーズとして有名なんですよ
by Lee (2015-07-04 11:04)
プラハの絵本はほんとうに素敵です。
そういえばビーズとかもよく売ってたような気がします。
有名なモノだったんですね。
by のび太 (2015-07-05 00:05)