マジ遠かった。
Sponsored Links
電車やバスを乗り継ぎまくりセネムの従兄弟の家に到着した。
この遠さ・・・
厳密にはここはイスタンブールではないのかもしれない。
そしてオレの目の前に広がっている光景。
これは一体なんなのだろうか?
セネムは変哲もない住宅地を素通りし、
高層マンション群の敷地へと向かっていく。
オレの想像していたご家庭とは違いすぎる・・・
軍事施設ばりのゲートに差し掛かると、
警備員達がゆらりとオレ達を取り囲む。
そしてセネムがトルコ語で何かを伝えると、
その警備員達は一歩下がりて一礼し、
ゲートを開く作業を始める。
本当に一体何事だ!?
セネムの従兄弟ってスルタンかマフィアなの?
オレがそう聞くと「タダのリーマンだよ?」とお返しがくる。
そしてマンションの一室を訪ねると
スーツ姿の若い紳士が出迎えてくれた。
オレがお土産にと持ってきたマルタのワインであるが・・・
ああ・・・見抜かれてしまっただろう。
これがスーパーで買ってきた安物であることを・・・
だって、このお家ワインセラーとかあるんだもん・・・
こんなウンコみたいな土産を持ってきて
本当にごめんなさい。
だが、従兄弟のセルカン殿はこのチンケなお土産を
笑顔で受け取ってくださったのである。
なんて良いお人なのだ!アイラブトルコ!
トルコ的なモノがなに一つないリビングで
オレ達はおしゃべりを始めた。
なんでもセルカンは建築士をやっているらしく
このマンションの設計にも携わったらしい。
ここを買ったのは地震が起きても
絶対に倒れないというのが理由だそうだ。
イスタンブールには耐震性の建物がほとんどないらしい。
「いつかこのイスタンブールで大地震が起こるだろう」と
預言者めいたことを言うセルカン。
「その地震が今までのツケを支払わせる」のだそうだ。
そしてセネムも交え、コーヒーをすすりながら
互いの政治、宗教、経済、歴史を語り合う。
のび太も背伸びして会話に参加するが
マジもんのトルコ富裕層の知識は半端ない。
なんで戦後処理の話題でRashomon effect(羅生門効果)みてぇな
心理学用語が出てくるんだよ!
もうわけがわかんないよ!
そんな中、会話を遮るようにテレビのニュースが流れてきた。
当時、旅の最中であまり知らなかったのだが
シリアでの内戦が激化してきたらしい。
すぐ隣りの国ではこんなことが起きているのか、と
気持ちが沈みそうになっていると
セルカンは壊れゆく街を見て
「あれ、オレが作ったマンションだ・・・」とつぶやいた。
ダウナーへと全力疾走するあの空気。
どうやって変えればよかったのだろう?
それを今でも考えている。
Sponsored Links
コメント 0