ドミトリーだというのに
目が覚めるとオレ一人だった。
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上のお兄さんは朝早く別の街へ行ったらしい。
物音一つさせずにね!
まじエロガキとオッサンは見習っとこうぜ!
この紳士的なやり方を!
ちなみに帰国の飛行機は今晩十時の便だ。
オレはホテルで荷物を預け外へと飛び出した。
最後のイスタンブールを楽しむ時間は十分にあるのだ。
そんなオレがまず向かったのは『地下宮殿』である。
地下の宮殿・・・名前がすごくそそります。
だが本当に宮殿があったわけではなく、
ここは東ローマ帝国時代の貯水庫だったらしい。
そして入り口は超質素。
人が並んでないと絶対通りすぎるよ!
というか、通り過ぎたんだけどね。
その小さな建物から地下へ降りていく。
地下には水面にそびえる柱が一面に広がっている。
その光景は確かに宮殿のようだ。
池をのぞくと白い魚が群れていて
実に不気味でいい感じである。
ひんやりとした空気を感じながら
オレンジ色の灯りに照らされた
この神秘的な地下宮殿を散策する。
そして、この地下宮殿で特に有名なのはこの柱だろう。
最深部にあるこの柱は
メデューサのクビを支柱にしているのだが
その理由は諸説あり、未だにその答えは出ていないらしい。
おおまかに諸説を言うと
①悪神を封じ込めるため。
②ローマがギリシアを征服したことを誇示するため。
④ただの高さ調整のため。
個人的には一番夢のない④じゃないかなと思う。
当時の市民が貯水庫をわざわざ見学しにくるとは思えないし、
この柱、結構奥にあるんだもん。
なにか誇示したいなら、一番前に置くんじゃないかな?
しかしメデューサも可哀想な女性である。
かつてはギリシャ土着の女神だったというのに
ギリシャ神話が生まれるや
アテナに「アタシよりキレイな髪の毛やねんとか寝言抜かしたそうやな?」
「あんたなめてんの?」と
ヤンキーみたいな言いがかりをつけられ
キレイな髪は蛇にされ、見たヒトを石化させるという
ひきこもり街道まっしぐらなモンスターにされたのである。
「そんなムチャな!ヒドイっすよ!」と
彼女のお姉ちゃん達が当然の抗議をアテナにすると
「アタシに逆らうんや?ふーん」と
とばっちりみたいな形で彼女達もモンスターにされてしまう。
そんなわけでメデューサは
泣く泣く人里離れた家で独り暮らしているのである。
なんとも、悲惨な元女神だ。
(諸説ありますが諸説のほうがヒドかったります。ポセイドンはクズ)
しかし彼女の受難は終わらない。
美の女神アテナの性悪な仕打ちは続くのである。
アテナは「怪物アトラスを退治するんや!」と
意気込む英雄さんと出会い
「あー、メデューサって見たもん石に変えられるらしいなー」
「首切って、武器代わりに使ったらアトラスもヤれるかもなー」
「がんばれ英雄。私も手を貸しましょうw」と煽りたてる。
そして英雄はメデューサの妹(なぜか妹までモンスター)の目と歯を潰し
「言えや!姉ちゃんどこにおるんや?」と脅しあげる外道プレイを敢行。
泣き叫ぶ妹からメデューサの居場所を聞き出し
ひきこもっていた彼女のお家を襲い・・・
あえなくメデューサはその生命を散らしたのである。
ちくしょう、こんなやつのドコが英雄なんだよ!
メデューサたんが何したって言うんだ!
んで、現代ではこんな真っ暗な地下で
彫刻になって柱に踏みつけられているのか?
なんて可哀想なんだ!メデューサ!
こんなんイジメやないか!
みとれや!ワイが大金持ちになったら、
アテナのクビと入れ変えて、
アンタにお天道様を見せたるさかいにな!
オレは彼女にそんな悲しい誓いをたて
この地下宮殿を後にするのであった。
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2015-09-19 01:06
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